二宮尊徳の名言【解説・生涯・関連本‥】日本再建・資本主義精神の熱き源流に学ぶ

    勤勉さや徳の象徴とされる二宮尊徳は数多くの名言を残しています。

    名言を生み出されるには子ども時代から亡くなるまでの生き方・考え方が影響しているため、その方のプロフィールを知ることも重要だといえるでしょう。

    今回は、二宮尊徳の生い立ちも踏まえて珠玉の名言をご紹介します。

    名言を残した二宮尊徳のプロフィール

    二宮尊徳は1787年に現在の神奈川県小田原市に生まれました。

    父の利右衛門は養父から田畑を受け継いでいたため、農家としては豊かな生活を送っていましたが、1791年、二宮尊徳が5歳のときに自宅近くの酒匂川が氾濫して家が流され田畑も失い、生活は一気に貧しくなりました。

    1800年に父が病気で亡くなった後は、母と弟2人を支えるため一家の大黒柱として仕事に励みます。

    しかし1802年には母も亡くなり、弟2人は母の実家へ預けられて自分は祖父の萬兵衛の家に身を寄せました。

    尊徳は祖父の家で昼は一生懸命働き夜は読書をしましたが、萬兵衛は夜に読書をすることを嫌いました。読書の際に明かりを灯す燈油が無駄だと判断したためです。

    そこで尊徳は自分でアブラナを植えて菜種油を燈油として利用しました。そして1804年まで祖父の家で過ごしています。

    親族の家に寄宿した後の1806年、20歳のときに流された家を修復して田畑を買い戻し、生家の再築を図ることに成功します。

    地主として農園を経営しながら武家奉公人としても働き、親族や家老が困窮した際には援助を行い名が知られるようになりました。

    1816年に最初の妻きのをめとりましたが1819年に離縁、翌年になみと再婚しました。

    1856年に70歳で亡くなるまでさまざまな功績を残し、真面目で実直な人柄は村人から慕われました。600以上の村の再建に関わったとされています。

    尊徳を祀る神社は生地である小田原、亡くなった地である日光などにあります。

    勤勉で実直な働き者であるイメージがあることから小学校に薪を背負って読書している姿の銅像が設置してあります。

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    二宮尊徳の名言集

    二宮尊徳は農村の復興に尽力し、失った家や田畑を再建しました。そのため名言は経済や商売・再建に関する内容が多く残されています。

    真面目で誠実な人生を過ごす中で生まれた名言について、商売・生き方・人生に分けて見ていきましょう。

    二宮尊徳の名言:商売について
    二宮尊徳の名言①

    ⭐売りて喜び、買いて喜ぶようにすべし。売りて喜び買いて喜ばざるは道にあらず。賃借の道も、また貸して喜び、借りて喜ばざるは道にあらず。

    二宮尊徳は貧しい子ども時代を経て、お金や食べ物に困ることのない地位を築いた後も、常に村人・役人に関わらず、困った人のために命を賭して懸命に働き続けました。

    自分のことだけでなく相手のことも考えるという思考こそが商売繁盛の秘訣です。自分も他人もともに喜び、経済が潤い、幸福に発展してゆくための道が示されています。

    二宮尊徳の名言➁

    ⭐道徳を忘れた経済は、罪悪である。経済を忘れた道徳は、寝言である。

    「商売は自分の儲けのためなら他人を蹴落とす」という不道徳では、結局は世間の反感を買いうまくいきません。

    逆に、道徳が協調されていても経済観念なければ国家も個人も滅びへの道に入ります。

    道徳と経済を両立させること、これが商売を成功させる秘訣であり、心豊かな大黒天への道なのです。

    尊徳は役人の不正を見つけた時も、村人が苦しい思いをしないように勇気を持って改革しました。周囲の人のことを考えて勇気を持って行動し、着実に実績を積み重ねていったことが多くの人から慕われた要因の一つでしょう。

    二宮尊徳の名言③

    ⭐大事を成さんと欲する者は、まず小事を務むべし。大事を成さんと欲して小事を怠り、その成り難きを憂いて、成り易きを務ざる者は、小人の常なり。それを小を積めば大となる。

    二宮尊徳の名言でもっとも有名な言葉だといわれています。

    小さなことを積み重ねる、小さな歯車を着実に回してゆくことが、大きなことを成功させるためには、極めて大事なことであることが説かれています。

    大きな成功をしたいと考えていると、たとえそれが向こう見ずなことだとわかっていても、いきなり、最初から大きなことをしがちです。

    また焦りの気持ちから、あるいは一攫千金を狙う気持ちから、一発勝負の妄想から、入念な準備もなく無理をして大きなことにトライしてしまい、脇や詰めが甘いこともあって失敗してしまいます。

    大きな成功したいと考えていると、目の前の小さなことをどうでもよいと感じてしまうことがあります。

    しかし、成功への道に入るには、目の前にあることを淡々とこなしてゆき小さな成功を着実に積み重ねていかなくてはなりません。

    そうするとどこかで ティッピングポイントとなり飛躍する場面が訪れるのです。

    コツコツと努力を続けていき、次第に大きく歯車をまわしていくことが成功への道なのです。この「積小為大(せきしょういだい)」の言葉は現在も多くの人が座右の銘に掲げています。

    二宮尊徳の名言:生き方について 
    二宮尊徳の名言④

    ⭐人々にはそれぞれ長所もあり、短所があるのは仕方がない。相手の長じているところを友として、劣っているところは友としてはいけない。人の短所を捨て、長所を友とするのだ。

    村の開墾作業中に出稼ぎできていた老人が、村人が嫌がるような面倒くさい作業を毎日地道に続けているのを見て、二宮尊徳は通常の賃金だけでなく慰労金も与えました。

    年老いていたため力はあまりありませんでしたが、老人の「単なるお金のためだけではなく、人々のために良かれと願って真面目に働く奉仕の精神」という長所に着目したのです。

    誰にでも短所はあります。しかし悪い点にばかり目を向けるのではなく相手の長じているところに目を向けてみることが大切です。

    長所と交わることで、相手も認められたと思うために、人間関係は向上してきます。

    二宮尊徳の名言⑤

    ⭐水を自分のほうに引き寄せようとすると逃げてしまうけれども、相手にあげようと押しやれば自分のほうに戻ってくる。だから、人に譲らなければならない。

    二宮尊徳は十分な地位を築き上げましたが、自分の財産は囲い込まずに、常に人の為にお金や労力を差し出しました。

    結果として人から信頼を得て多くの人に慕われ、後の世の人からも慕われる人生となりました。

    自分のことばかり考える人だったならば、慕われることもなかったでしょう。

    多くの方に愛を与える生き方をする。相手のことを考えて行動する。愛の本来あるべき姿が説かれています。そしてそれが、真実の成功への道であることを示している名言です。

    二宮尊徳の名言⑥

    ⭐誠実にして、はじめて禍を福に変えることができる。術策は役に立たない。

    現代でも要領よく生きることばかりがもてはやされていますが、目先だけの小手先の技を身につけるよりも、自分の行いにおいて、他人への施しにおいて、誠実な生き方をしていくことが大切です。

    誠実な生き方をしている人には何ともいえない柔らかで眩しい波動(オーラ)が出ていて、次第に鬼神もそれを避けてゆくと言われています。

    また誠実に生きる人には天の恵みがあるとともに他の人々からの助けも入ります。

    そして誠実に生きる人は、禍のなかからも教訓を得て、それを次の成功のためのヒントにしようとします。誠実さこそ禍を福に変える秘訣なのです。

    二宮尊徳の名言:人生について
    二宮尊徳の名言⑦

    ⭐およそ人と生まれ出た以上は、死ぬのは必定だ。長生きといっても取るに足らぬほどの相違で、たとえばロウソクに大中小とあるようなものだ。人と生まれ出た以上は必ず死ぬものと覚悟してしまえば、一日生きれば一日の儲け、一年生きれば一生の得だ。

    人は必ず死を迎えます。では、なぜ、人はこの世に生まれてきて一生懸命に生きてゆくのでしょうか。

    この問に答えるには、仏教の「転生輪廻の思想」を紐解く必要があります。

    それは、人間はこの世とあの世を行き来している存在であり、この世というものは、いわば学校のようなもの。魂の学びの場所であるという考え方です。

    世界的に有名な童話作家であるアンデルセンも「人は人生の旅人」「この世は学校のようなもの」という言葉を残しています。

    人はともすれば死を恐れ、長生きすることばかりにこだわってしまいます。唯物論的な考え方では「この世がすべて」であり、いつも死の恐怖におびえていなければなりません。長生きすることばかりに思いが行き過ぎてしまうと、人生の目的と使命を見失ってしまいます。

    人生の目的は魂の勉強にあり、その使命は人々と助け合って素晴らしい世界を創っていくことにあります。

    そうであるならば、 今日という与えられた一日に感謝し、人として立派に生きられるように誠実に努力してゆきたいものです。

    人は必ず死ぬものと覚悟するということは、死はこの世の学校の卒業だと捉えるということでもあるでしょう。与えられた一日に感謝し、一日一生の思いで人生を輝かせてゆきましょう。

    二宮尊徳の名言⑧

    ⭐翁いわく世の中に真の大道はただ一筋なり、神といい儒といい仏という、皆同じく大道に入るべき入口の名なり。

    宗教や教えはたくさんあるけれどそれぞれの鍛錬を積んでゆけば同じ大道につながる入口になります。

    二宮尊徳の思想には奈良の大仏建立時に中心的に活躍した行基菩薩と同様な思想があるでしょう。

    奈良の大仏は毘盧遮那仏であり、毘盧遮那仏とは仏陀の法身を表しているとされています。仏陀の法身とは仏陀の真実の姿であり、それは地球や宇宙をも統べる存在です。

    二宮尊徳の名言⑨

    ⭐悪いことをした、やれまちがったと気づいても、改めなければしかたがない。世の中のことは、実行によらなければ事は成就しない。

    反省から発展につながる道を教えていただいています。

    悪いことをしたと思っただけではだめで実行に移さなければならない。その実行とは何でしょうか。

    ひとつは、悪いことをしたと思ったら言葉によって行動によって他人に謝るということでしょう。直接的に謝れないものは心の中でまず謝罪しましょう。

    実行に移すことのもうひとつは、悪いことをしたもののなかから教訓を見いだすということでしょう。教訓という名の智慧が、次の発展につながります。

    いずれにしても、悪いことをしても反省して実際に行動に移していくことで二宮尊徳のように多くの成果を残せるようになるのです。

    また、悪いことをしたのではないけれども、不平不満をばかり言ってそれを解決するために行動を起こさない人はたくさんいます。

    変わらない現状をいつまでも嘆くのではなく、どうしたら解決できるかを考えて行動していきましょう。

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    報徳の精神で素晴らしい人生を!

     真面目で勤勉な二宮尊徳の名言は、多くの人の心に響く言葉ばかりです。

    自分の利益だけでなく他人のことも考えること、人の良いところに目を向けること、小さな積み重ねが重要であることなど、多くの教えがあります。

    毎日を大切に思いやりの心を持って過ごして、後悔のない素晴らしい人生にしましょう。