サッチャーの名言【英語・和訳・関連本‥】国造りの柱とした自助努力の精神

    イギリス初の女性の首相として11年間の長期政権を担当したマーガレット・サッチャー

    国民の幸福に繋がると考えるものなら自分の意思を貫き通す強固な性格から、鉄の女というあだ名がつけられています。

    当時のイギリスの経済を安定させた一方で、一見、貧困層に不利な政策を推し進めたかのようにも受け止められて反感を買うことがあったため、亡くなった今でも彼女が行った政策への賛否は分かれています。

    今回は、サッチャーの生い立ちなども踏まえて、その名言を紹介致します。

    サッチャーの名言

    サッチャーの名言① トップへの道

    ⭐ I do not know anyone who has got to the top without hard work. That is the recipe. It will not always get you to the top, but should get you pretty near.

    ⭐私は努力なしにトップに立った人を知りません。努力がそのこつです。努力がいつもあなたをトップに導くわけではありませんが、かなり近くまで導くでしょう。

    (『マーガレット・サッチャー―「鉄の女」の生き方』カトリーヌ キュラン
    彩流社より)

    サッチャーの魂の資質もありますが、幼少のころから、政治家でもあった尊敬する父から「自己責任と自助努力の精神」を教わっています。

    彼女の人生を貫く「考え方の根幹のひとつ」となりました。

    サッチャーの名言➁ 成功するには

    ⭐ What is success? I think it is a mixture of having a flair for the thing that you are doing; knowing that it is not enough, that you have got to have hard work and a certain sense of purpose.

    ⭐成功には素質も必要でしょう。しかし、それだけでは十分でないことを自覚し、目的を持って努力しなければ、成功は得られません。

    (『新しい日本―サッチャーからの提言』PHP研究所より)

     サッチャーの目的とは「国民が幸福になること」だったのでしょう。人々を愛することや、夢や理想やロマンこそ、成功するための原動力です。

    サッチャーの名言③ お金について

    ⭐Pennies don't fall from heaven — they have to be earned here on Earth.

    ⭐お金は天から降ってこない。地上で稼ぎ出さねばならない。

    (『人生はニャンとかなる!2冊合本版』水野敬也・長沼直樹著 ミズノオフィスより)

    サッチャーは、頑張っている人、努力している人が良い生活を送り、成功する政策を追求していました。

    サッチャーの名言④ 愛の強さ

    ⭐I am extraordinarily patient, provided I get my own way in the end.

    ⭐最終的に自分の思い通りになるなら、私はいくらでも忍耐強くなれる。

    (The Wall Street Journal 2013・4・ 9 より)

    ここでいう「自分の思い通りになる」とは「国を良くする」ということです。そのためならどんなことでも我慢できるという、鋼鉄のような愛の意志の強さが表れています。

    サッチャーの名言⑤達成するには

    ⭐If you just set out to be liked, you would be prepared to compromise on anything at any time and you would achieve nothing.

    ⭐ 好かれようとしているだけなら、いつでも何でも妥協する用意があり、何も達成しないだろう。

    (『不安な未来を生き抜く知恵は、歴史名言が教えてくれる 「明日を変える力」を磨く55の言葉  SB新書 竹中 平蔵著より)

    国を良くするためには、周囲の人に嫌われても断固として貫き通さなければならないことがあるという、リーダーに不可欠な考え方が説かれています。

    選挙の票を集めるには人から好かれなければなりませんが、たとえば小さな子供におやつばかり与えていてはやがて身体を蝕んでいくように、大きな流れで国民を堕落に導くような政治のあり方をサッチャーはとても嫌っていました。

    サッチャーの名言⑥信念の政治家

    ⭐ I am not a consensus politician. I’m a conviction politician.

    ⭐私は意見の一致を求める政治家ではない。信念の政治家だ。

    (「私は信念の政治家」、サッチャー元英首相語録 ロイター2013年4月9日より)

    サッチャーは国民のためになるという確信があるものに対しては、周囲の意見に振り回されない、断固とした姿勢で政策を推し進めています。

    サッチャーの名言⑦私の仕事とは

    ⭐My job is to stop Britain going red.

    ⭐私の仕事は英国が共産主義に向かうのを防ぐこと。

    (映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』より)

    セフティーネットであきらかに社会的な弱者である方は助けなければなりません。

    しかしそうではない方でも一律平等の美名のもとに、努力をしている人と努力をしていない人とが同じ生活を送るのはおかしいとサッチャーは考えていました。

    サッチャーの名言⑧戦いの日々

    ⭐I have done battle every single day of my life.

    ⭐私が戦わなかった日など一日たりともありません。

    (TSUTAYA News2016・10・26東京国際映画祭オープニングイベント記事より)

    自助努力の精神を明確にすることで英国を堕落から発展へと救うとともに、女性議員がほとんどいない時代に首相になったのですから、戦いの連続だったのでしょう。

    この戦いは思想戦でもあり、自分自身との戦いでもありました。

    サッチャーの名言⑨運命の変え方

    ⭐Watch your thoughts, for they become words. Watch your words, for they become actions. Watch your actions, for they become habits. Watch your habits, for they become character. Watch your character, for it becomes your destiny.

    ⭐考えは言葉となり、言葉は行動となり、行動は習慣となり、習慣は人格となり、人格は運命となる。

    (映画『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』より。サッチャーが、父親より教えられた言葉として紹介されています。また、この名言は、マザーテレサの愛した言葉としても有名です)

    「何を考える」かが、すべての出発点です。

    本当に素晴らしい思考の練りこみは、光を放つ言葉となり、行動となります。そしてまた考え、言葉を発し、行動を起こして習慣にしてゆきます。

    習慣とは努力の継続であり、それが人格となり、やがて運命を変えてゆきます。この名言には、努力によって運命は変えることができるという、実体験からくる悟りがあるでしょう。

    サッチャーの名言⑩影響力について

    ⭐Being powerful is like being a lady. If you have to tell people you are, you aren’t.

    ⭐影響力があるかないかは、レディーの資格があるかないかに似ている。自分で自分はレディーよと言わなければ分かってもらえないようでは、レディーの資格はない。

    (『リアル・インフルエンス』マーク・ゴールストン、ジョン・ウルマン著 :ダイレクト出版より)

    誰から見ても気品が漂う高貴な女性のように、政治においても圧倒的な良き影響力を持つことを目標にしていたのではないでしょうか。

    サッチャーの名言⑪政治について

    ⭐In politics, if you want anything said, ask a man; if you want anything done, ask a woman.

    ⭐政治において、言ってほしいことがあれば、男に頼みなさい。やってほしいことがあれば、女に頼みなさい。

    (『サッチャー回顧録―ダウニング街の日々〈上〉』日本経済新聞社より)

    政治には口で言うばかりではなく実行力が必要です。政治家には、不言実行の姿勢が求められます。

    サッチャーの名言⑫強い言霊

    ⭐Defeat?   I do not recognize the meaning of the word.

    ⭐敗北?   私 は その 言葉 の 意味 を 存じ上げ ませ ん

    (『英語de名言』宮崎哲也著より)

    極めて言霊(言葉の力)が強い名言です。なぜ、それほど強く言えるのか。それは自分自身との戦いの現れであり、その奥には国民への強い強い愛があるからでしょう。

    サッチャーの名言⑬女性の首相について

    ⭐I don’t think there will be a woman Prime Minister in my lifetime.

    ⭐私が生きている間に女性の首相が誕生するとは思えません。

    (「私は信念の政治家」、サッチャー元英首相語録 ロイター2013年4月9日より)

    確かに、メイ首相が誕生したのはサッチャーが亡くなってから3年後のことです。

    サッチャーの名言⑭決断の大切さ

    ⭐Do not follow the majority. Whatever decision on their own. And convinced also the people, to do in the lead.

    ⭐多数に追随するな。自分自身で決断せよ。そして人々も納得させ、リードしていけ。

    (『10代のための座右の銘 今を変える未来を変える』大泉書店編集部編より)

    国民の幸福を真に願い、幸福へと導く確信があるならば、大多数の人の聞こえの良いだけの意見に流されてはなりません。

    自分で決断し、決断だけではなく人々を納得させる説得力で導いていくことが大切だということです。

    サッチャーの名言⑮男女平等について

    ⭐People who do the women's movement to loudly hate. Regardless of the other men and women, human beings is determined by the ability.

    ⭐女性運動を声高にやる人は嫌いです。男女の別に関係なく、人間は能力で決まる。

    (光文社『女性自身』2021/06/09 サッチャー氏 死してなお世論を二分した「鉄の女の言葉」より)

    本当の意味での男女平等が説かれています。

    女性運動だけではなく、様々な政治上の政策のなかでも、行き過ぎたものとそうではないものとの見極める智慧の力が必要です。

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    名言の背景としてのサッチャーの生い立ち

    名言を見てもわかるように、サッチャーは信念の女性でした。そのような性格が形成されてゆく過程と、彼女が亡くなるまでの激動の人生を紹介していきます。

    ・・サッチャーの幼少期

    1925年10月、雑貨商の家に誕生したサッチャー。

    地元で市長を務めた経験がある父のことを尊敬しており、自己責任と自助努力という父からの教えを心に刻んで過ごします。

    学校の成績で優秀賞をもらったときも、努力したのだからもらって当然と言い放ったそうです。

    ・・議員になるまでの道のり

    オックスフォード大学では化学を学び、大学を卒業してからは就職をして主にコロイド化学についての研究を行います。

    その後25歳で選挙に立候補しますが残念ながら落選。

    26歳で結婚をして28歳のときには弁護士資格を取得します。

    しかし34歳のときに再び立候補した下院議員選挙で当選し、政治家としての道を歩み始めることになります。

    ・・ついに女性初の首相へ

    議員になってからは、国民の本当の幸福を願っての強引な政策で「ミルク泥棒」や「鉄の女」などの異名をつけられましたが、それでも54歳のときに行われた総選挙で女性初の首相に当選。

    小さな政治と自由主義経済を掲げたサッチャリズムを追求し、イギリス病からイギリスの経済を立ち直らせました。

    1982年に起こったフォークランド紛争では、決断力の早さと強靭な姿勢によってフォークランド諸島を奪還。

    それによりイギリス国民から高い評価を得ました。

    ・・首相辞任から亡くなるまで

    考えがあって裕福な人に優しい政治を推し進めたことから反感を買い、さらには失業者が増えて経済も鈍ってきたことで支持率が低下。

    1990年の党首選で求心力の低下が明るみになり、首相を辞任します。

    晩年は痴呆症を患っていましたが、政治家時代のことを聞かれるとはっきりと答えていたようです。

    その後膀胱に腫瘍が見つかり、摘出手術を行います。手術には成功しましたが、2013年の4月8日に脳卒中で倒れ87歳で亡くなりました。

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    サッチャーのエピソード

    強いリーダーとして強硬な姿勢を見せ続けていたサッチャーですが、女性らしさも忘れてはいませんでした。そのようなサッチャーのエピソードも紹介いたします。

    ・・総選挙前にダイエットを実施

    実はサッチャーは、1979年の総選挙の前にダイエットをしていたと言われています。

    首相になればメディアに出る機会が増えると考えていたからです。アルコールや糖質を減らし、良質なタンパク質を補うというダイエット方法でマイナス9キロの減量に成功しました。

    ・・常におしゃれでいることを心掛けた

    サッチャーは洋服やヘアスタイルにもこだわりを持っていました。

    女性議員がほとんどいない中で、おしゃれをすることで自らの存在感を高めようとしたのです。

    定番のスタイルは、ブルーのトップスやスカートにパールのアクセサリーを組み合わせた上品なスタイル。

    美容室には3日に1度のペースで通い、カールがかかったふんわりヘアをキープしていたと言われています。

    ・・「鉄の女」はサッチャーのお気に入り

    最後に「鉄の女」というサッチャーのあだ名について。

    元々はソ連の国防省機関紙がソ連の共産主義に反対するサッチャーの頑固な姿勢を見て、皮肉を込めて書いたあだ名でした。

    しかしサッチャー自身が気に入ったためメディアもそのあだ名を使うようになり、世間にも浸透していったのです。

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    自助努力の精神を貫いたサッチャー首相

    強硬な姿勢でサッチャリズムを貫いたサッチャー元首相。

    彼女への国民の評価は分かれますが、当時の日本の中曽根首相やアメリカのレーガン大統領にも影響を与えるなど、カリスマ性があったことは事実です。

    実際に葬儀が行われた際は歴代の首相や各国の首相、ロンドン市民の他、エリザベス女王も参列。

    家訓である自助努力の精神を貫き通したことによって、それがイギリスのみならず世界の繁栄のための指針となり、たくさんの人に大きな影響を与え続けています。